アクアクララとクリクラの業務提携では特に何も起こらないと思う

アクアクララとクリクラが業務提携を発表しました。
2016年8月22日の発表です。

業界としては大ニュースでシェア1位と2位が手を組むことになります。背景としては日本宅配水協会での意見交換が発展して・・云と書いてありました。その通りなのでしょう。

アクアクララとクリクラの関係は、元々はクリクラを運営するナックがアクアクララの販売代理店として事業開始した当時まで遡ります。その後アクアクララが色々とやらかして、民事再生をするわけですがその際に袂を分けナックは「クリスタルクララ」というブランド名で再出発します。その当時は完全にアクアクララが優勢でしたがいまでは立場が逆転しクリクラがリーディングカンパニーです。
簡単に言うとアクアクララは競り負けてしまったわけです。

当然アクアクララは面白くなく、いままで両社の関係は悪かったと言われています。それがなぜ今になって突然業務提携と言い出したのでしょうか?

少し考えてみようと思います。

アクアクララもクリクラも自社配送員が再利用ボトルを宅配するスタイルのリターナブルメーカーです。お水は各地に製造プラントを持ちROミネラルウォーターを製造しています。震災前までは現場営業がつよい両社の独壇場でした。

ところが、震災を機に各ウォーターサーバーメーカーにバブル期が到来します。それに合わせてスマホの普及率が一気に上昇し、顧客獲得の主戦場は現場営業からインターネットへと移っていったのです。
この頃からコスモウォーターが台頭し始めます。インターネット上では圧倒的な認知度をほこり、その他にもフレシャスやクリティアといった天然水系ワンウェイメーカーが業績を伸ばし始めました。

このインターネットの流れに完全に乗り遅れたのがアクアクララとクリクラです。全国に多数配置される営業マンや代理店は主に訪問販売やデモ販売に充当されており、インターネットとの競合は想定していませんでした。
しかし今では多くの顧客がスマホを片手に、すぐに情報にアクセスできるためインターネット戦略で後手に回った両社は顧客獲得で停滞します。
その様な背景があるにもかかわらず、両社とも対面営業強化路線を崩さず顧客獲得が完全に失速しています。

ここ数年は顧客数維持が精いっぱいで、油断するとすぐに純減してしまうという体たらくです。その様な状況に改善の兆しが見えない中、両社打つ手が無くなりいよいよもって業務提携を発表するという流れです。(注:勝手な推測です。)
この期に及んでまだ「対面営業強化」を掲げるようであれば完全に停滞するでしょう。

この2社の業務提携のメリットとして考えられるのはスケールメリットくらいしか現時点ではないと思います。
ボトル製造原価の圧縮やサーバー開発費の共有です。
しかし、両社の直面している問題はそれら原価ではなく「顧客獲得」である事は一目瞭然です。今回の業務提携によりお互いのノウハウを共有するという発表がされていますが、その分野においてはノウハウを有しておらず弱者の寄り合い感が否めません。

ブランドの統合や製品の統合は当面行わないようなので実際には原価の圧縮も難しいかもしれません。これだけの大きな事業規模になってくると利害関係者も多く、例えば販売代理店総数は軽く1000社を超えてくるでしょう。リターナブルメーカーの強みでもある代理店網が逆に「弱み」となって露呈する事も時間の問題です。

何か両社にて取り組みをする際にはこの「代理店」が足かせになります。両本部が合意した内容であってもグループ全体で取り組みを行う場合主たる代理店には根回しをする必要があります。
特にアクアクララの場合は本部に販売機能がない為、代理店に販売を頼っておりかなり大きな発言権があります。それら代理店全てを説得する事は容易ではなく、時間と忍耐が必要になります。

これが本部に権利が集中しているワンウェイメーカーのスピード感に付いていけない理由です。

上記のような理由から当面取り組みが可能なのは、新規サーバー開発くらいでしょう。しかしここにも問題があります。両社ともに販売が不振なので積み残し在庫が大量にあると想定されるからです。
しかしサーバーは定期的に生産輸入する契約をしているはずなので日々在庫が増えており、天然水系ワンウェイメーカーへの切り替え顧客からの返送サーバーも増えています。
両社ともに顧客母数が大きい為、月間5,000~10,000万件程度の解約サーバーが積み上がります。返送サーバーは原則として代理店在庫になりますので、新型サーバーを製造しても旧型サーバーが掃けない為売れないという問題に直面する事になります。
新型サーバーが販売されれば在庫サーバーが旧型サーバー扱いになってしまう為、返送サーバーを多く抱えている大型の代理店からの反発は必至です。場合よっては本部負担で旧サーバーの買取りをさせられる可能性もあります。

そうこうしているうちにコスモウォーター等がデザイン性に優れたウォーターサーバーを開発し、販売機会を逃してしまうという流れになりそうな感じが満載です。協業はやはり時間がかかります。意思決定権者が多すぎるのです。

最大の課題である販売に関して打開策を見いだせるかどうかが、この提携のキーポイントになると思いますが・・・難しいでしょうね。打開策はすでに両社にて探ったうえでの提携でしょうから。

そこで少し飛躍して考察したいと思います。
アクアクララとクリクラでは母体企業のパワーが異なります。クリクラを運営するナック社は東証1部上場、アクアクララを運営するレモンガスは非上場企業です。資本金を比較するとナック40億円、レモンガス2000万円です。
その為資金体力ではクリクラが圧倒的に優位です。

クリクラの思惑として透けてみえるのは「アクアクララ買収」ではないでしょうか。
ワンウェイメーカーの快進撃で顧客増加の糸口が見えないクリクラは、源流が同じでありサーバーやボトルタイプ、事業モデルが同じアクアクララ顧客を吸収する事で一気に顧客数100万件を目指したいのではないかと推測します。
まず長年の因縁関係を「業務提携」で和解して、その後合弁会社を設立。親交を深めながら株式交換によるレモンガスの買収・・・の様な流れがナック幹部の頭の中にあると思います。
※2017年5月31日追記
アクアクララ株式会社との合弁会社(子会社)設立に関するお知らせ
(ほら、キター!くまおさんの予想的中!これからクリクラはアクアクララ買収の機会をうかがうと思われます)

資金的にもクリクラ優位ですし、代理店との紛争も多く抱えているアクアクララです。経営者も赤津一族で固められていますので手は出しやすいかもしれません。

長い目で見た時に、クリクラとアクアクララのブランドを統合し両社の代理店を集中させることで利益率の改善も見込めるでしょう。

な~んてね。この様な推測記事は他のサイトでは読めないと思いますので貴重ですよ!でも「推測」ですからね。くまおさんの勝手な「推測」ですからね。念を押しておきます。

くまおさんがこんな記事を書くとアクアクララ側が警戒して関係ぎくしゃくしたりして~(笑)

関連記事

ページ上部へ戻る